長年の間に、たくさんのメディアに取り上げていただきました。ありがとうございます。
大阪市で開催中の大阪・関西万博の会場で、茨城県石岡市産の御影石を素材に、ブルガリアの男性彫刻家が桜川市で制作した石像が、同国パビリオン脇に展示されている。世界平和への願いがテーマだ。約30年にわたって同国との交流を続け、男性に工房を提供するなどした桜川市の石彫家、浅賀正治さん(71)は「作品は両国友好の証し。万博という国際舞台で茨城のPRにもつなげたい」と話す。
(成海隆行)
制作したのはイヴァン・ストヤノフさん(44)。ブルガリア国立アカデミー大学院を修了し、石彫だけでなく油絵や木彫でも活躍する。「平和への祈り」と名付けられた今回の作品は、高さ約2メートル、重さ約6トンで、合掌しているような形になっている。高さ約50センチの台座には「世界が永遠に平和でありますように」と日本語と英語で刻まれているほか、石岡市産の御影石を使用したことも記されている。
ストヤノフさんは、日本石材産業協会(東京都千代田区)から在日ブルガリア大使館を通じて招待され、昨年10月に来日。同協会に招待を提案した浅賀さん宅に約1か月滞在し、制作に打ち込んだ。作品を万博会場に展示しようと、浅賀さんが日本政府や同大使館と交渉を重ねて了承され、開幕前の今年3月に設置することにこぎ着けた。
ストヤノフさんは滞在中、桜川市の県立真壁高や市立南飯田小を訪問。デッサンを披露して交流した。帰国前には「石は永遠の強さと持久力を持ち、歴史、文化、自然の重みを担う」とし、「私の仕事は石の物語を語り継ぐことだ」と話したという。
浅賀さんは1985年にブルガリアの美術国際コンクールで金賞を受けたのを縁に、同国の芸術家との交流を始めた。2005年に愛知県で開かれた愛・地球博(愛知万博)でも、現代彫刻家の石像を母国のパビリオン脇に展示することに尽力。その際も自宅に滞在させ、地元産の御影石を提供して作品の制作を支援した。こうした交流が評価され、浅賀さんは19年に同国政府から表彰された。
浅賀さんは「みんなが応援してくれたお陰で何とか展示が実現した。万博会場を訪れた際にはぜひ作品を見てもらい、世界平和を願うメッセージを感じてほしい」と話している。